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クローズ ZERO II




監督:三池崇史/新宿ピカデリー/★3(68点)本家公式サイト

社会のしがらみから隔離されたユートピア。「終わらない夏休み」的90年代の空気感だと思う。その余裕が楽しい。
時代の空気というものは確実に存在していて、意図するとしないとに関わらず、あらゆる作品に影響を及ぼしている、と私は思っている。
映画もその一つで、ストーリー、映像、音楽、役者と“要素”が多い分、例えば小説や絵画、音楽や漫画などより、その時代の空気感の影響は強いかもしれない。
(時代を捉える早さという点では劣る気もするが)

私の思う「90年代なるもの」は「終わらない夏休み」的感覚。

「余裕の時代=80年代」の後半から始まったバブル期がやがて終焉を迎え、それでも“空気感”だけは浮かれた夏休み気分で、これがいつまでも終わらないんじゃないかと思いながら、それでも確実に夏休みの終わりが近づいていた時代。今よりもまだ“余裕”のあった空気感。
この映画は、社会のしがらみから隔離されたユートピア(純粋な空間と呼んでもいい)の中で、終わらない夏休みを楽しんでいる90年代的空気の映画だと思う。
そこに垣間見える“余裕”が実に楽しい。
作り手が意図しているかどうか分からないが、選曲の多くは80年代後半から90年代に全盛期を迎えた「90年代なるもの」を背負ったアーティスト達であるのも一因かもしれない。

実際、彼らには唐突に卒業がやってくる。
「留年」などという現実的なしがらみは無い。
「もうすぐ卒業」という自覚も無い。
あるのは、前作に続き若手男優番付映画よろしく次世代を担う三浦春馬君が、劇中でも次の世代を背負うことを匂わせるだけだ。

彼らは間もなくユートピアから巣立つ。
このユートピアが忘れられず、終わらない夏休みの感覚だけを残してユートピアから放り出されてしまった人間が、少年院から出所した男とやべきょうすけのエピソードなのだ。
だからと言って、まあ命の重さウンヌン言うけれども、映画として強い説教臭さを発するわけでもない。
『ROOKIES』みたいに、やれ友情だ、やれ根性だ、みたいな恥ずかしい言葉を口にすることもない。
悪く言えば(三池映画にありがちな)「空っぽ」とも言えるのだが、逆に「余裕」に見えるから不思議だ。

黒木メイサとのくだりはまるで70年代風だし、山田孝之がボロのビニール傘で歩くシーンは60年代風だ(あれ?90年代風じゃねーじゃん)。
こうしたお遊びも、ベタな展開も、刃物NG、凶器不使用、急所を蹴ったり既に倒れた者をボコることもないヤンキー優等生達も、なんだかもう古き良き時代の話に見えくる。
私は、それが悪いとは思わない。
「リアル」「真実(に基づいた)」というせせこましい昨今の風潮より、「ド本気で嘘をつく余裕」が楽しい。
(この昨今の風潮は、作り手の創造力の欠如なのか、観る側の想像力の欠如なのか)

そうは言っても“今”の空気感もあって、ヤンキー達がゴリマッチョじゃなくて細マッチョなのは、今時なのかなあ、と。
あとなんだっけ、日傘でUVケアしたりするナヨッとしてるけどめっちゃ強い奴、みたいなのは21世紀型の(流行の)キャラクター造形だよね。

2009年4月11日公開(2009年 TBS・東宝他)133分

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