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スラムドッグ$ミリオネア




監督:ダニー・ボイル/ユナイテッドシネマ豊島園/★4(82点)
本家公式サイト

ダニー・ボイルのけれん味と嗅覚
私の中で、ブライアン・シンガーやガイ・リッチーと時折ごっちゃになるダニー・ボイル。
正直、『ザ・ビーチ』を最後にその名を忘れていた。
持ち味である疾走感・躍動感が話と噛み合うかどうかが作品の成否を分ける人なのかもしれない。

子供達がスラム街を疾走するシーンなど大変素晴らしい。低いカメラ位置から見上げる青空、一転して上から見下ろすトタン屋根の群。手持ちカメラを振り回しているようでいて、実は過不足無い描写。
こうした“けれん味” − 「けれん味が無い」と用いるのが正しい言葉だけれども − が、実はけれんに満ちたストーリーに逆に合っている。
毒をもって毒を制す。けれんをもってけれんを制す。
正攻法の演出だったら、いやいやそれはやり過ぎでしょう、それはベタでしょう、ライフラインの使い方が上手かっただけでしょう、と思うような話だったかもしれない。

そしてこの場所と時代の設定。
もちろん原作によるところなのでしょうが、疾走感・躍動感と噛み合う舞台だったと思うのです。

かつてのスラム街に今では高層ビルが建築されている、という描写があります。
インドは今、日本で言えば60年代的な高度成長期を迎えているのでしょう。
これがただ貧しいだけの国ならこの“一攫千金”という話は成立しません。サタジット・レイみたいな映画になります(<なるか?)。
逆に、同じく「ミリオネア」が製作されていた日本だったらどうでしょう?今の日本じゃ豊かすぎるのです。日本だったら60年代、富と貧困が紙一重で混在する『天国と地獄』の時代でなければ成立しない話だと思うのです。
そうした時代の空気を、ダニー・ボイルは疾走感と躍動感の中で巧く切り取ります。
その“嗅覚”は見事だと思います。

しかしこの映画は、一攫千金が動機でないことはご覧になった方なら分かっているはずです。
では一体、何が運命だったのか?
また同じことを言いますけど、ライフラインの使い方が上手かった。
最後のライフラインを使うために、運命が彼をここまで導いたんですよ。

余談

独占禁止法の関係なのか自主規制なのか、日本のテレビの賞金って上限200万円くらいなんだよ、たしか。ミリオネアは、テレフォンとか応援とかの人数も含めて200万円×5人という名目で1000万円に設定してたと思う。違うかもしれないけど。
その昔、それこそ70年代の優勝賞品は憧れのハワイ旅行とかでさ、視聴者参加の人気クイズ番組が山ほどあったんだよ。三枝の国盗りゲームとか。三枝の国盗りゲームかよっ!←言いたいだけ。

日本公開2009年4月18日(2008年 米=英)120分

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