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ロスト・イン・ラ・マンチャ

監督:キース・フルトン&ルイス・ペペ/渋谷シネ・アミューズ/★3(50点)gooDB

他人事じゃない。なんだか悲しくなってきた。
親友と二人で観に行った。彼とは自主制作映画を撮ったりしている。
制作に入って早5年、未だ完成していない作品がある。
お願いしますよ監督ぅ〜(監督は彼ね)。
制作(共同)・脚本(3回も書き直したのに原型をとどめていない)・出演(脇役)・撮影(一部)・音響(ほとんど)・音楽(2、3曲)・その他諸々を担当している私は困ってますよ〜。
友人を「2週間だけ」と引っ張り出した挙げ句1年間撮影に付き合わせ、未だ「完成してない」じゃ私の立場ありませんよ〜。
初夏にクランクインしたから友人はYシャツ1枚でさあ、真冬の撮影もYシャツ姿でやってもらったりしたかんね(当然ノーギャラで)。

というわけで、映画監督というものは「わがまま」でなければ出来ない職業なのである。
そしてそれにお供する者は大変な労力を要するものなのである。

なんだ、プロの現場も変わらんじゃないか。

ところがだな、テリー・ギリアムが挫折したこの映画、ハリウッドだったら回避策はいくらでもあったんだな。
主演を代えてでも、ロケ地を代えてでも、CG使ってでも、「こだわり」を捨てれば完成はさせられたはずなのさ。
トラブル続きとは言うものの、このドキュメンタリーの表面上に現れているのは「大雨」と「主演の降板」だけなのだから。

だが、この二つの大きな事象で、監督以外のスタッフの気持ちが萎えてしまったのだ。少なくとも私にはそう見えた。
こうなるともうダメだ。
監督は「わがまま」でなければならないが、そのわがままを「きく者」が存在しなければ先へは進まない。
この映画の失敗の本当の原因は「情熱」。欠如したスタッフの情熱と監督の情熱の空回り。

テリー・ギリアムは「世界一の赤字映画」と言われる『バロン』がこたえているらしいが、なんのことはない、『未来世紀ブラジル』の段階でさんざん揉めていたのさ(知りたい人は「バトル・オブ・ブラジル」でも読んでおくれ)。
ところが、『ブラジル』のトラブルはアン・ハッピーエンドが気に入らない配給側との揉め事だったし(あの傑作をお蔵入りさせるハリウッドの愚かしさ!)、『バロン』は映画ゴロに騙されたんだし、実はギリアム自身が予算オーバーしたことはないのだ(もちろん低予算だとは言わないけどさ)。「トラブルメーカー」の名とド派手なセットで「金食い虫」的なイメージが強いが、「予算オーバー監督ナンバー1」の座はギリアムではなく間違いなくコッポラである(マイケル・チミノもいるがな)。

この失敗で、鬼才テリー・ギリアムは自分の思い描く通りの映画を撮れることは二度とないだろう。
そう思うと悲しくなってきた。

日本公開2003年5月10日(2002年米=英)1時間33分


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