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パイレーツ・ロック



監督:リチャード・カーティス/新宿武蔵野館/
★3(62点)本家公式サイト
遠足バスの最後部席を陣取ってワイワイ騒いでいるクラスメイトを横で眺めているような映画。
基本的には楽しんだんだけどね。

“クラスメイト”と評した理由は、ラジオもロックも近しい存在だから。
たださあ、俺が生れる前の話でしょ。曲が全然ピンと来ないんだ。ほら、俺、J-POP世代だから。ワハハハ。

そうした「同世代感覚のなさ」に加えて、「当事者意識」も持てなかったんだ。
沢木耕太郎に言わせれば彼らは“ピーター・パン”なのだそうだが、残念ながら私はピーター・パンに共感を持てない。当事者としての私のポジションはむしろロストボーイ。“ラジオの聞き手側”なのだ。

この映画には聞き手側の視点がない。
聞き手側が、ラジオから流れるロックのおかげで何か救われた、ということなら共感する。
ベーブ・ルースが病気の子供にホームランを捧げた的なエピソードとかさ。ミスター・Tが訪れたら昏睡状態の子供が目覚めたとかさ。
リスナーと真摯に向き合う姿勢は皆無だし。

百歩譲って聞き手側の視点がなかったとして、それなら船上の彼らの心に深い傷を残すべきだったと思うんだ。いっそ誰か死んじゃうとかさ。
心に大きな傷を抱えたまま「それでも俺達はロックを愛し続けるんだ」という話なら共感した。
心の傷は少年一人に負わせているようだが、彼は別に「ロック命」じゃないからね。

さらに百歩譲って、そうした情緒的な(精神的な)部分無しでも良しとしたとして、それならもっと“反体制”に軸を置いてもよかったと思うんだ。
彼らの足かせは、政府(と法律)なわけでしょう。抵抗したのはホントに最後だけだよね。
そうした対決的な要素で重要なのは、悪役が強いこと。
こんな敵役じゃ全然盛り上がらん。
強大な敵に苦しめられて苦しめられて、それを打ち破って初めて爽快感があるんじゃないのかね。
全然苦しんでないよね。勝手に座礁してるだけだし。

さらにさらに百歩譲ったら、もう海に落ちちゃうよ。

(しつこいようだが)基本的には楽しんだんだけど、突き詰めて考えると、「ロック=反体制」という“記号”にドップリ依存した、ただのノスタルジー物のような気がしてきた。

日本公開2009年10月24日(2009年 英=独)

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