June 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

ぼんち




監督:市川崑/新宿角川シネマ/★4(88点)再鑑賞(本家

ステロタイプのキャラクターやストーリーがこんなに美しくはまっている映画を他に観たことがない。
どうやら7年ぶりの再鑑賞。
その頃より“役者”が分かっているので、面白さ倍増。だって、7年前は鴈治郎を鴈治郎として認識してなかったもん。なんて面白い映画なんだ。

改めて観ると、意外とというか実にというか、山崎豊子節全開ということに気付いたのです。
「女に振り回される男の物語」と誤認していた(あるいは記憶がすり変わっていた)のですが、実に筋の通った「商売話」なんですよ。ある意味、一人の男の立派な生き様ですよ。
中でも、「妾腹は家の小柱」「男の子供はそのままだけど(出来が悪くても跡継ぎにせざるを得ないけど)、女の子の方が出来のいい婿を迎えられるからいい」なんてクダリ、立派なリスクヘッジです。

そして、やはり豪華女優陣に目がいってしまうのですが、男好きのする奔放な小娘(若尾文子)、献身的な女(草笛光子)、現代的な女性(越路吹雪)、そして女が選ぶ「産ませたい女」は最強女優=京マチ子。それぞれに「味のある」タイプの異なる女性達。船越英二に代表される市川崑型弱い男達の前に立ちはだかる強い女性陣。
ややもすれば紋切り型になりがちなキャラクター設定ですが、役者の力量と軽妙洒脱な描写で、不快感なくはまっている。むしろ美しいとさえ言っていい。

二号さんの本宅への挨拶なんぞ、ゾクゾクするほど面白かった。

余談

市川崑はしばしば「着物の裾(時に袖)をふすまに挟む」という描写をするのですが、意外にもこの映画にはないのです。
いったいこの描写はなんだろう?テンドンかしらん?などと思っていたのですが、なんとなく分かった気がします。
慌てたり動揺したりした描写なんだな。たぶん。
この映画の女性陣、だれも慌てないし動揺してないんだよ。
女は怖い。

(1960年 大映)

comments

   

trackback

pagetop