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ちょんまげぷりん


監督:中村義洋/新宿武蔵野館/
★3(68点)(本家未登録/公式サイト

たいへん小奇麗にまとめられたジャニ映画
私は中村義洋を贔屓にしていて(メジャー大作2本『チーム・バチスタ〜』と『ジェネラル・ルージュ〜』は観ていないのだが)、いろんなことが分かっている監督と評している。
例えば役者の起用法。
今回は佐藤仁美のキャスティングで確信した。今いちばん「幼稚園のママ友達」が似合う女優は佐藤仁美しかいない。中村義洋は分かっている。
そして中村義洋は、本作がどういう意図で誰に向けて企画された作品かをよく分かって撮っていると思う。

この手の「江戸時代から侍が現代にタイムスリップしてくる」という話は、これ以上作りようがない。

その昔、新選組が現代で活躍する生命保険のテレビCMがあったのだが、これを映画化するという頭の悪い企画があって、ひょんなことから私がプロットを書くハメになったことがある。
頭の悪い企画の上に出来の悪い脚本家の卵が書いたものだから、当然企画はお流れになったのだが、何をどうやったって同じ話にならざるを得ない。

まず最初にタイムスリップしてきた侍のカルチャー・ショックで始まり(現代人が過去にタイムスリップする場合は省けるんだが)、侍視点で見た現代の善い点悪い点を描き、現代の技術を習得し、現代人と心を通わせ、侍としての見せ場を用意し、ナンヤカンヤあった末に「現代で生きよう」と心に決めて“(果たされない)未来の約束”を交わした途端に過去に逆戻り。そして、現代から持ち帰ったもの(物体であったり技術であったり)が活かされて現代に残っていたというエピローグが用意される。
まあ、だいたいこんなところだ。要するに「鶴の恩返し」。

こうした枠の中で、この映画は“パティシエ”という意外な組み合わせを持ち込んだ。
そしてテンポ良く丁寧に、綺麗にまとめている。よく出来ていると言ってもいい。

そこには「家族愛」であったり「就活」であったり、企画書上「なぜ今、侍のタイムスリップなのか」を説明し企画が通りやすいウケ狙いのキーワードが散りばめられる。
決して、旦那と別れた時と同じ轍を踏んでいるともさかりえが女性(母親)としての生き方を省みるとか、侍・錦戸亮が180年後に消えている侍の存在価値に悩むとか、そうした精神的な高みに触れることはない。
ましてや、現代でチャンバラを繰り広げてチンピラどもを血の海に沈めることもない。

だってこれはジャニ(ジャリ)映画だもん。

どんな客層が何を目当てに観に来くるのか、その企画意図を分かった上で、中村義洋なりの職人仕事をした一本だと思う。
レディースデーに観に行ったからよく分かるよ。その手の客で満席(立ち見)で、みんな満足してたみたいですよ。オジサンは割引にならなかったけど。

でもまあ、それなりに面白かったよ。

2010年7月31日公開(2010年 ジェイストーム)

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