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乱暴と待機

乱暴と待機監督:冨永昌敬/テアトル新宿/
★4(85点)本家公式サイト

本谷有希子は“本物の作家”である。“本物の作家”と書いてイカレポンチと読む。
『パンドラの匣』で私の持つポップな太宰感を見事に表現してくれた冨永昌敬は、本谷有希子を扱ってもその本質をよく見抜いていると思う。
同じ本谷有希子原作でも『腑抜けども〜』と雲泥の差。
いずれにせよイカレた映画だけどね。音楽大谷能生だし。歌ってるのやくしまるえつこだし。ヒドいサブカル臭。

椎名林檎とか川上弘美とか鳥居みゆきとか、私はイカレ女が好きらしい。
そして最近の一番のお気に入りは本谷有希子である。
同じイカレ女でも、西原理恵子や内田春菊のような「ウケるためなら何でもやりまっせ」的なサービス精神ではなく、「殻にこもった表現者」が好きらしい。
彼女らは、思いもよらない視点で、とんでもない所からパンチを繰り出してくる。それでノックアウトさせられてしまう(当然それなりに計算はしているのだろうが)。
例えば、西川美和は計算が見え隠れするけど、横浜聡子は何を考えているのか分からない。だから面白い。

本谷有希子は好んで「他人の顔色をうかがう女」「ヤリマン女」というモチーフを用いる。
本作のように同一人物の場合もあれば、別な人物の場合もある。
そして、「ねじれた肉体関係」というモチーフも頻繁に使う。
本谷有希子作・演出、小池栄子先生主演の「甘え」という舞台を見たことがあるが、いやもう、間近で見る小池栄子先生は細くてちっちゃくて可愛らしいのに凄いオーラなんだよ。いや、そんなことじゃなくて、その舞台で本谷有希子は、日本の土着文化としての「夜這い」を肯定的に捉えるということをやってのけた。
まったくイカレテイル。

こうしたモチーフや設定が何を意味するのか、何が彼女をそうさせるのか、実はまだ私には分からない。
この文学的な面白さをそう簡単に読み解けてしまっては面白くない。
しばらく本谷有希子に付き合って、ウヒウヒ楽しみながら解明していきたいと思う。

映画は小池栄子先生全開というだけで5点付けそうになったけど、たぶん本当はもっともっと“痛い話”じゃないかと思うんだ。

2010年10月9日公開(2010年 メディアファクトリー=ショウゲート)

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