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シングルマン

シングルマン監督:トム・フォード/新宿バルト9/
★4(70点)本家公式サイト

デカダン!デカダン!
個人的には終始ニヤニヤし通しの映画だったが、野球で言えばコーナーギリギリの変化球みたいな映画で、ストライクかボールか微妙。審判がどっちのコールをしても不思議はない。

ファッションデザイナーが監督初挑戦だそうで、映画畑以外のアーティストが監督する映画というのはビミョーな場合がしばしばある。
日本なら写真家・操上和美が監督した『ゼラチンシルバーLOVE』がそうであるように(もっと適した例えがありそうなもんだが)、「映像は美しいんだけど話がねぇ」「映画としてはどうかねぇ」みたいな。
何がそうなる原因かと言うと、「映画に不慣れなもんだからベラベラしゃべるパターン」と「美意識が強すぎて思わせぶりだけの独りよがりパターン」が考えられる。
いや、実際この映画も後者のパターンなのだ。

ところが、この映画の思わせぶり、その徹底っぷりが、私個人には結構ツボで、終始ニヤニヤ観ていた。
要するに『鬼火』なのだ。
いや、望月六郎じゃないよ、ルイ・マル。
そう。この思わせぶりはフランス映画的な思わせぶりなんだ。

まあ、分かりやすいと言えば分かりやすいんだが、現実と回想の色彩が徐々に逆転してくるのね。
現実は生きている感覚を失って色褪せ、想い出だけが鮮明に蘇ってくる。
ベタではあるが、映画はそういうことを“視覚的に”表現できる媒体。
初監督でそういうのをやってみたいという気持ちもよく分かる。

映画畑の荒戸源次郎『人間失格』よりはるかにデカダンの香りがしたよ。

日本公開2010年10月2日(2009年 米)101分

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