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アブラクサスの祭

アブラクサスの祭監督:加藤直輝/テアトル新宿/
★3(58点)本家公式サイト

後ろ頭の映画。画面がロックになる瞬間があるも、ちょっと監督が真面目すぎる。
アーティストの表現過程の物語にも見えるし、鬱病患者の治癒の過程にも見える。

原作未読なので分からないが、なんだか一生懸命原作に沿ってエピソードを拾い、なんとか絡めようとしている印象を受ける。おそらく監督は真面目な人なんだろう。
例えばキャラクター造形。小林薫か本上まなみ、このいずれかはもっと“天然”で、もう一人は“しっかり者”という少し“ハジけた”キャラの方が良かったと思う。例えば『椿三十郎』の奥方の天然さとかね。
何故かって?
登場人物全般が平板すぎて、主人公の真摯さが際立たない気がするんだ。

映画は全編生真面目に撮られているのですが、一箇所だけ画面がロックになる映画的なシーンがあるんですね。
坊主になったスネオヘアーが、坊主なのにスネオヘアーが(<言い直す必要はない)、波の前でギターを掻き鳴らすシーン。
ワンカットで撮影されたこのシーンは、計算外の緊迫感が生まれ、正にロックと言える映画的なシーンだと思うんです。
彼は、自身の叫びをギターに代弁させるんです。

そしてこの映画は、(アヴァンタイトルを除いて)後ろ頭で始まり後ろ姿で終わるのです。
映画は自己を見つめる主人公の姿を写し撮りますが、自分の後ろ姿、特に頭の後ろは自身では見えにくいものです。
何かここに人間臭い哲学が感じられるのですが、はたしてどこまで意図された演出なのか、私には分かりません。

2010年12月25日公開(2010年 日)

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