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鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド監督:内田けんじ/吉祥寺バウスシアター/★3(65点)本家公式サイト

期待通りの面白さ★3
よく出来た話です。面白い映画です。安心して人にオススメできる「健康的な」映画です。これだけの話をオリジナルで書けるのは凄いと思います。

この感想に嘘はないのですが、うーん、なんて言うか、上手く表現できないんですが、アンジャッシュのネタを見た時と同じような印象があるんですよ。
巧いね、考えられてるね、よく出来てるね(でも腹の底から笑ってない)って感じ。

内田けんじは気の毒だと思うのです。
あまりにも鮮やかで美しい脚本だった『運命じゃない人』以来、「練った脚本」が期待され(本人もそういうのが好きなんだろうけど)、その期待に応えて結果を出し、結果を出せばそれ以上を期待され、これからもそういうサイクルを続けねばならないんだろうな、と。

加えて彼は(おそらく)真面目な人なんだと思うんです。
トリッキーなことや卑怯なことをせず、地に足の着いた「理屈の通った」筋立てで脚本を練る。
そんな彼だから、今後もどんどんハードルの上がる「期待のサイクル」に応えようと努力するんだと思う。
それで成功を続けられたら凄いことだけど、実際には「理詰めのコメディ」だけで成功した人っていないと思うんですわ。
ビリー・ワイルダーだって(コメディだけじゃないけど)結構いい感じに出鱈目だよ。三谷幸喜なんか卑怯なことこの上ない(笑)。
もっとも、堺雅人はこの映画を「技巧を捨てた正攻法」と言っているので、内田けんじの中でも少し変化があるのかもしれませんが。

実はこの映画、非難すべきことは基本的にないんですが、既にホコロビがすこーしあるように思うのです。

正直、香川照之がヒロスエの整頓された部屋でクラシックを聴く前後で(そもそもその重要な転換点のパンチ力も弱いんだが)、話の目指すべき方向性が違っちゃってない?
有り体に言えば、後半の荒川良々と森口瑤子さんを巡る話は、確かに堺雅人のせいで混乱するけれども、結局はほとんど香川照之本来の力で解決するわけじゃない?
じゃあ前半の「二人の男が入れ替わる」エピソードはいったい何だったんだ?って考えると、ただ単に「二人(とヒロスエ)が出会うきっかけ」にしか見えなくなってくる。
“自己再発見”の物語としても中途半端。

欲を言うとさあ、前半の“設定”が後半のドラマの「鍵」になってほしいと思うんだ。
例えば、そうさなあ・・・。

香川照之は本当に殺し屋で、記憶は戻らないまま。早く結婚したいヒロスエは早々に香川照之との婚約を決める。一方、堺雅人は殺し屋と間違われてしまい、自分の命が危ないからヒロスエの協力を得て早く香川照之の記憶を戻そうとする。しかしヒロスエは、記憶が戻ったら結婚してもらえなくなるので記憶が戻らないよう邪魔をする。そんな周囲の騒動を知らないのは記憶喪失の本人だけ・・・。
そうこうしているうちにヒロスエが悪い奴に捕まり、フィアンセを助けようと香川照之が奮戦しているうちに殺し屋の記憶が蘇ってくる。殺し屋の記憶が戻ったことでフィアンセを救出できたが、殺し屋の記憶が戻ったことでフィアンセと別れなければならない・・・。

という話なら(たいした話じゃないが)まだ前半の“設定”が活きると思うんだ。

2012年9月15日公開(2012年 日)

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