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アルファヴィル〈デジタル・リマスター版〉

アルファヴィル監督:ジャン=リュック・ゴダール/シアター・イメージフォーラム/
★1(20点)本家公式サイト

こたつでミカン食べながらゲラゲラ笑ってみるべき珍作。理系コンプレックスのDT文学青年が負け惜しみ言ってる映画。でも結構好きよ。
2015年にデジタル・リマスター版限定公開で鑑賞。なんにせよスクリーンで観られることはありがたい。

『アルファヴィル』は、村上春樹が小説「アフターダーク」の中で登場させている。
大久保辺りのラブホテルの支配人(だったかな?)の好きな映画という設定で、ラブホテルの名前として使用している。
“ラブホテル『アルファヴィル』”って、実はこの映画を端的に現している気がするのです。
つまりこの映画は、「愛がなくてもSEXできるか?」というテーマを提示し、ゴダール青年(当時35歳)が「愛がなくちゃSEXできないもん!」とDT臭いことを言っているのです。

興味深いのは、トリュフォー『華氏451』もそうだけど、当時予測された未来社会の危惧が、ジョージ・オーウェル「1984年」的な情報統制・思想統制が主流だったということ。この要因は東西冷戦当時、社会主義・共産主義台頭に対する恐怖だったんでしょうけど、よく考えたら西欧の教会主義が自ら通ってきた思想統制の歴史なんだよね。魔女狩りとか。
ところが21世紀に入った現実は、ネット社会が発展し、情報統制どころか逆に情報化社会。むしろ野放図。
情報化社会になると均一化が進むと思われていたんだけど、これまた現実は違って、情報や技術を享受できる者とそうでない者の間に格差が広がってしまっている。さらに言えば、情報発信を巡る相互監視社会みたいになっている。昨今、人々がやたらイライラしたりキレやすくなってたりするのって、情報過多のせいじゃないかと思うんです。情報の量とスピードが人間の処理能力を超えちゃったんじゃないかな。映画と関係ないけど。

映画に話を戻すと、技師と呼ばれる人がちゃちな機械の間を行ったり来たりする程度でしか科学を表現できない理系音痴のゴダールが、そのコンプレックスを文学青年の言葉でやり込めようと躍起になってる印象の映画。
彼の理解の中ではSFをスパイ物にすり替えることが精一杯だった気がする。

でも、コントとしては好きよ、この映画。

(1965年 仏=伊)

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