October 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

犬猿



言葉にしたら陳腐な関係を巧みなエピソード構築と役者の好演で描写する。健全なバランスの映画。

監督:吉田恵輔/テアトル新宿/★4(80点)本家公式サイト
冒頭で映画の予告編が流れるんですね。映画館で観てると本物の予告編かと一瞬錯覚するんですが、「なんじゃそりゃ」くらい下手くそな予告編なの。
この劇中劇、筧美和子がいかに売れないタレントかという説明でありながら、役者の演技の落差にもなってたんです。ニッチェ江上、筧美和子の演技が予想外に(<失礼)巧かった。そして筧美和子は可愛かった。
冒頭の下手くそ劇中劇は、いわばオリックス星野の緩いカーブみたいなもんだったんですよ(<例えが古い)。
吉田恵輔作品は『さんかく』しか観てなかったんですが、思い返せばえれぴょんも上手かったんだ。もしかするとこの監督は、演技力を引き出せる人なのかもしれません。

兄弟、姉妹の「犬猿の仲」を描くんですが、言葉にしちゃうと陳腐なんです。一人っ子の私ですら理解しやすい言葉に置き換えられちゃう。だけどこの映画は、それをきちんとエピソードとして消化(昇華)していく。丁寧に作られています。
それにね、この監督は上っ面のイイ話には興味が無いんですよ、きっと。『さんかく』の段階で薄々気付いてはいたんですけどね。

たぶん「ヒューマンドラマ」というジャンルに分類されると思うんですが、実は結構毒があるしヒリヒリ痛い。見方によっては「隠し味」なのかもしれないけど、私はこの監督の「基本のダシ」のような気もするのです。ま、なぜ料理に例えているのか自分でも分かりませんが。

この手の映画は、過剰にコメディーに走るか、作り手の思い入れたっぷりなんだけど雰囲気だけになるか、両極端に陥りがちですが、この映画はバランスもいい。健全なバランス。とにかく、登場人物の気持ちの流れがいたって自然。

吉田恵輔作品をもっと観るべきだったな。



2018年2月10日公開(2017年 日)

comments

   

trackback

pagetop