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ファニーとアレクサンデル〈デジタル・リマスター版〉



イングマール・ベルイマンの「渡る世間は鬼ばかり」。あの主教はムスカだろ?

監督:イングマール・ベルイマン/ユジク阿佐ヶ谷/★5(90点)本家

デジタル・リマスター版で初鑑賞。

なんかこういう名作と呼ばれる作品って御大層なイメージがあるじゃないですか。時間も長いし。
実はなんてことない話なんですよ。1部、2部なんてクリスマスと葬式やってるだけ。
それなのに全然飽きない。むしろ面白い。

だけどこれ、共に宗教行事なんです。実は最初から先々まで計算されていることを窺わせます。
1部は家族模様を俯瞰し、2部は一転、アレクサンデルの視点だけで話が進む。マクロ視点とミクロ視点を意識的に使い分ける。

「老年は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広くなる」と名言を残したベルイマンは、単一的な視点だけでは物語を語り尽くせないことを熟知している。
映画的な面白さに満ち、全く飽きない326分。でもたった2年の物語。こいつら白夜だから夜が長いんだよ。

一見分かりやすい話ですが、直線的な物語ではなく、複雑で、人によって解釈が異なり得る物語です。
舞台に重ね合わせて人生を描く。人生は悲劇や喜劇であり、人は何かを演じる面と本性がある。善と悪の物語であり、恐怖と心の平穏の物語であり、生と死の物語である。

私は、「理想と現実」の物語に収れんできるんじゃないかと思っています。
アレクサンデルは言うに及ばず、祖母や母から妊娠しちゃったメイドに至るまで、登場人物全員が理想と現実のギャップに悩み苦しんでいる。
それが人生というものなのかもしれません。

よくベルイマンの自伝的要素があると言われ、おそらくそれはアレクサンデルのことだと考えられているんでしょうけど、私は登場する男ども全員にベルイマンが投影されているんじゃないかと思うんです。
女好き、神経症の叔父たちも、アレクサンドルを「怖い」と言う主教も。

余談

いろんな映画がこの作品の影響を受けてると思うけど、園子温『愛のむきだし』は多大な影響を受けてると思う。
イサクっていったっけ?終盤、ワンカットで延々おとぎ話(?)を語るシーン。これ、満島ひかりのワンカット長台詞だと思うんだ。



(1982年/スウェーデン=仏=西独)

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