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多十郎殉愛記



僕の多部ちゃんに僕の高良くんに僕の熊切の映画。あ、中島貞夫の映画だった。

監督:中島貞夫/新宿バルト9/★3(68点)本家公式サイト
2年ほど前、とある講演会で中島貞夫の話を聞いたことがありましてね。80歳過ぎとは思えないほどとてもお元気でした。
本作は20年ぶりの新作だそうですが、年老いて撮れなかったわけじゃないと思うんですよね。
大阪芸大の教え子=熊切和嘉が監督補佐に付いていますが、ヨイヨイで若者に大半を任せた佐藤純彌『男たちの大和』パターンではないと思うんです。どっちかっていうと、撮る機会に恵まれず、日本映画学校の教え子らが背中を押した今村昌平10年ぶり劇場映画『復讐するは我にあり』パターンだろうと。なぜ資金源が吉本なのかは知らんけどな。

実際、映画もまだ若々しいんです。
市川崑が85歳くらいで撮った『どら平太』なんか「年寄りが撮った映画感」満載だったし、(時代劇じゃないけど)80歳過ぎた降旗康男が撮ったV6岡田君の『追憶』なんて加齢臭がしたし、同じ高良君の若松孝二の遺作『千年の愉楽』なんて、事故死だったのに映画に死相が出てたもん。
この映画は全然そんなことない。中島貞夫まだまだいけますよ。セサミンでも飲んでんじゃねーの?

年をとっても若々しいのはいいことなんですが、逆にそこに見出すべき物語がなくなっちゃうんですよね。
クリント・イーストウッドは年齢相応の“物語”を自身の映画で提示していますが、この映画にはそれがない。
いやもう、何をどうやっても、80歳過ぎに「若者の憤り」は描けませんよ。オジサンがリアルな女子高生を描けないのと一緒です。
黒澤明は三船敏郎という同年代を通して等身大の世代を描いてきたから空気感が“リアル”だったんですよ。深作欣二40歳代の『仁義なき戦い』シリーズも同じ。

あと、時代感ね。
「孤高のヒーロー」「ニヒリズム」「ハードボイルド」なんてのは昭和のヒーロー像。
今は「ワンピース」「マーベル」「アンパンマン」に代表される「仲間」の時代なんですよ。
そういった意味では、森田芳光の『椿三十郎』リメイクや三池崇史『十三人の刺客』リメイクの方が、まだ時代性はあったんです。

純粋に“チャンバラの面白さ”を追求した映画であることは否定しません。
悪い映画じゃないし、じわじわ面白くなってくる。私は嫌いじゃない。
教え子の協力を得ながら、「時代劇の父」伊藤大輔へ敬意を払うというのも、何か輪廻のようなものを感じさせる。

でも上述したように、作家性としても自身に則していないし、娯楽性としても時代に沿っていない(それは時代劇だからということではなく)。

結果、「高良君かっこいいわぁ」とか「多部ちゃん可愛いわぁ」とかいう感想が真っ先に出てしまうのです。
やー、多部ちゃん可愛いわぁ。まじ可愛い。



2019年4月12日公開(2019年 日)

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