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パラサイト 半地下の家族



「リスペクト」できない。どうも私はポン・ジュノの「匂い」が苦手のようだ。

監督:ポン・ジュノ/吉祥寺オデヲン/★3(69点)
本家公式サイト
正直言って、この映画が★3だったら世のほとんどの映画は★1か2にしなければいけなくなるくらい、アイディアも秀逸だし演出も上手い。完成度の高い映画だと思います。
それでも私はこの映画が好きになれない。手放しで褒められない何かがある。それが具体的に何かは巧く説明できませんが、例えるなら「匂い」。

映画に限らず、あらゆるジャンルの表現者(作家)には「匂い」がある。
その人の作品が持つ独特の雰囲気のようなもの。作家性と呼ばれるものかもしれない。
そして私は、どうやらポン・ジュノのそれが、どうも好きになれないようです。どうしても「リスペクト」できない。

全く個人的な見解なのですが、私は「社会に適応出来ないダメっ子」は感情移入するけど、「バカ・マヌケ」は嫌いなのです。例えば前者は、古くは『ゴーストワールド』、最近なら『宮本から君へ』。後者は『殺人の追憶』や『グエムル』。ポン・ジュノはいつもいつもバカ・マヌケで話を展開する。

この映画の構図を冷静に見てみましょう。

一家全員の顔を知っている人物が一人だけいます。家庭教師を紹介した長男の友人。
わざわざ半地下の家まで押しかけたのは「家まで知っている一家全員と顔馴染み」という映像表現に他なりません。つまり、彼こそが一家の正体を知る唯一の人物であり、事件の進展(破綻)のキーマンとなり得たはずなのです。

しかし映画は「バカ・マヌケ」で話を展開させてしまいます。
破綻のきっかけは、階段で足を滑らす父であり、うっかり「父さん」と言ってしまう息子である(それを録画した「核のボタン」はドタバタしただけであっさり役割を終えるが)。
手を滑らせて石をゴロンゴロン落として敵に警戒させ、どんな痕跡が残るか分からないのに留守中リビングで酒盛りをする。知恵ある者の行動ではない。
例えば「この家の娘、きっと前の家庭教師にも同じことしてたよね」という思わせぶりな伏線は全然活かさないのに、私が挙げつらった「バカ・マヌケ」エピソードは全部破綻へのトリガーとなっている。
もっと言ってしまえば、急に帰ってきたことによる「見つかっちゃうかも!」という物理的緊張はあっても、何気ない会話などから「もしかするとバレるか?」という精神的緊張はほぼ皆無。何故精神的緊張が無いのか?バカでマヌケだからなんですよ。

ひょんなことから計画が狂って悲惨な事件に至る。コーエン兄弟もこんな話が多い。
しかし、その作品が持つ「湿度」が全然違うと思うのです。
コーエン兄弟はドライな視点で「人間の滑稽さと悲哀」を描きますが、ポン・ジュノはかなりウェットで浪花節じみている。
いや別に浪花節で悪いことはないんですけどね。ただもう、好みの問題なんです。

男と女の関係に似てるんですよ。
それぞれが持つ「匂い」に好き嫌いがある。
女子みたいなこと言うけど、生理的に嫌い。
時計回りでお願い。



日本公開2019年12月27日(2019年/韓国)

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