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ホームドラマ!

TVドラマ・連ドラ(最終回)/岡田惠和脚本/TBS/★4公式サイト

「そこにある」ということ
これは「そこにいるべき人」を失い「そこにあるべきもの」を失った者達の物語だ。
そして人は、失って初めてその大きさを知る。

観光バスの転落事故で愛する家族を失った9人。
新婚旅行中に新妻を失った男。
単身赴任先に遊びに来た妻と子供を失った男。
不倫の清算旅行中、恋人を失った女。
両親を失った女子高生。
分かり合えなかった父に誘われた旅行中、父を失った中学生の男。
両親を失った小学生。
成長した息子達と旅し、その息子達を失った母親。
老後の楽しみにと旅をし、妻を失った老人。
添乗員だった恋人を失った旅行者の女性。
残された彼らは、紆余曲折ありながら、大家族として同居を始める。

このドラマは、家族として同居を始めるまでの過程を追うドラマではない。
同居を始めた彼らが、真の「家族」となっていく過程を追ったドラマだ。
岡田惠和は決して安易な、そして分かり易い結末を用意しない。悪者を退治したり、事件が解決したり、全てが円満に解決するハッピーエンドは用意しない。彼らは支え合いつつも、誰の助けも借りず、自らの意志で立ち続ける。とても真摯なドラマだ。

このドラマの過酷な点は、不倫相手の子を宿した女がシングルマザーの道を選ぶエピソードに集約される。
果たして産まれてくる子は幸せなのか?彼らは自問自答する。産まれてくる命に失った命を重ね合わせていないか?彼らは結論を出す。産まれてくるのは別の命だ。別の命として温かく迎えよう。自分に言い聞かせるように。
世間は事件を風化させても、当人達は忘れない。いや、忘れないために同居している。しかし、彼らは子供を見るたび思い出すのだ。そして彼らは、決して自分達のせいではないにも関わらず、原罪を背負って暮らしていく。
だがその反面、この子供にこそ彼らの希望が託されていることを見逃してはならない。

「そこにあるべきもの」を失った者は、相対的な位置として、「自分のいるべき場所」すら見失ってしまう。それを知る彼らは、自分の「いるべき場所」がある事に幸せを感じているはずだ。
このドラマのラストシーンは、正にそれを象徴している。
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