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隠し剣 鬼の爪

監督:山田洋次/新宿ジョイシネマ1/★5(81点)本家gooDB公式サイト

これは山田洋次による『タクシードライバー』だ!
そんじょそこらの生半可な映画とは段違いに格が違う。

真のクライマックスである主人公二人のラスト、そこで初めてカメラはガーッと回り込む。
人妻かっさらってきた一大事感を、次につないだ慌ただしいショット(恐らく唯一の手持ちカメラだと思う)で表現する。
夫の死体を前に立ち尽くす妻を被写界深度の深いワンショットでとらえる。
必殺技を繰り出す姿を(その手許を写したくなるところだが)遠景でとらえる技量。
完璧。
嫁をかっさらわれたというスキャンダルを商家はおおっぴらにしたくない土地柄。周囲もそれを(陰口を叩いても)表立って言わない風土。竹筒を手にすることで必然的に発生する大音量。決してこけおどしではない、主人公の心に響く音。そこまで総て計算に入った緻密さ。

「お互い好き合っているから一緒にいる」この至極当たり前で自然なことが革新的だった時代。

それを、変わりゆく時代と革命家(謀反人)を通じて、松竹大船調の伝承者・保守派の代表みたいな山田洋次が作った妙。
大船で寅さんを中心に「変わらぬ日本人の心」を描き続けた山田洋次は、大船を失ったことで「移りゆく時代」に目を向けたのだ。
そして、役者界の革命派・緒形拳先生に保守派の権化を演じさせる妙。

あの歳でまだギラギラした役をやれる緒形拳先生は凄いなあ。あれは小林稔侍にゃ無理だよなあ。それに、高島令子は後家顔だよなあ。あと、笹野高史はヤブ医者顔だよなあ。

2004年10月30日公開(2004年日)



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