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花とアリス

監督:岩井俊二/CS/★4(75点)本家gooDBAmazon

岩井俊二はアイディアとテクニックの人である。
主演女優二人がフィルムの中でキラッキラッしてるのか、キラッキラッしてる二人をフィルムに収めたのか、いずれにせよその件は大勢の方が論じているので今更私が論じることもない。

つーかさあ、キラッキラッした女子高生を描けるだけで凄いと思うよね(女優の力量もあったろうが)。
「女子高生を描きたい」と思ったところで自分に何が書ける?女子高生の生態なんか全く分からん。「我々は女子高生の寿命さえ知らない」というロイ・シャイダーの名台詞があるが(<ない)、何を考えて生きているのか、何を食って生きているのかも知らん。せいぜい、鎖鎌か何か持った女子高生が格闘するぐらいしか思い付かん。

岩井俊二という人は、驚異的なアイディア力を持つ。
今、日本で、原作無しのオリジナル作品を撮り続けているメジャーな監督は岩井俊二と北野武くらいしか思い付かない。1アイディアで話を押し切るタイプの北野武(それが悪いとか劣っているとかいう意味ではない)に対して、岩井俊二は物凄い量のアイディアをぶち込んでくることからも、そのアイディア力は推し量れる。紙コップバレエなんて、どうやったら思い付くんだ?

考えてみたまえ。「記憶」なんてものを取り扱ったらSFとか大層な話しか思い付かんぞ。それを日常のエピソードに昇華する手腕。記憶を利用した「ちょっとした嘘」が、離れて暮らす父を巡る記憶への連鎖。(エロゲーにはそういうシチュエーションはあるのかもしれないが)

ところが、ストーリーのキーである「記憶」を巡るエピソードが、実は本作の発想の根源ではない。
つまり、「記憶喪失を信じ込ませて恋人になりすますってアイディア思い付いちゃった。これ面白そうじゃん」ということが発端ではなく、「キラッキラッした女子高生の日常を切り取りたい」ってことが発端なのだ。
それは、ショートフィルムからの経緯がどうのとかいうことではなく、映画の冒頭がそれを物語っている。

ストーリーで映画を魅せようとするなら、「あの男の子(なんだか言う留学生)カッコイイ」と遠巻きに見る二人やこっそり写真を撮るところから入っていい。いや、そうすべきだ。
だがこの映画は、一見何気ない女子高生二人の登校シーンから入る。白い息を吐く二人を描写する。ストーリー上は全く不要。だが、そこにこそ監督が本来描きたいものが凝縮されている。「これはキラッキラッした二人の女の子の映画ですよ。そこを観てくださいね」と高らかに宣言している。

そこがテクニシャンだと思うのだ。

2004年3月13日公開(2004年 日)135分



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