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間宮兄弟




監督:森田芳光/新宿武蔵野館/★4(78点)
本家goo movie公式サイト

シンプルな視点が「複雑」を垣間見る物語。もしくは「中学生が高校生になる」物語。仮に彼らを「オタク」と呼称することが許されるなら、オタク映画史上の最高傑作。
最初にハッキリ言っておくが、普通の人にはそれほど面白くない映画だと思う。
も一つ最初にキッパリ言っておくが、私が江國香織の作品が好きで(「間宮兄弟」は未読)、森田芳光に対して大変「甘い」から面白いと言っているのではない。

ただ、一つだけ両者が好きだから言えることがある。
森田芳光が原作物の映画化の際に重視する「読後感」。この映画は私の好きな江國香織作品の「読後感」を巧く表現できていたと思う。
江國香織はクッキリしたストーリーを駆使して読者をグイグイ引っ張っていく類の作風ではない(そこが普通の人には面白くなかろうと言っている由縁なのだが)。ふわふわした布の中に小さな針が仕込んである。そういう作風だと私は思っている。
エピソードやら何やらは原作と違う部分が多々あるだろう。だがこの映画は間違いなく江國テイストなのだ。

この映画で描かれる兄弟は「男の子」である。私は「中学生」と表現したが、少し知恵のついた小学校高学年でもいいかもしれない。
そんな彼らが、ちょっとだけ世間の「複雑」に触れ、傷つき、新幹線の操車場を見ては癒されるのである。

この映画を観て、この兄弟に嫌悪感を抱く者はほとんどいないだろう。決して美化されているわけではないし、特殊な人種として扱っているわけではない。
だが、身近に存在したら間違いなく気持ち悪い兄弟だ。
オタクと言ってもいいだろう(しかし『電車男』や『恋の門』のように戯画化するような真似はしない)。
だが彼らに不快感や違和感を抱かせず、むしろ「あるある」に変えてしまったところに、この映画の妙がある。
観客は完全に兄弟側の視点で物語を捉え、むしろ登場する女性に対して「どうしてそんな男と付き合ってるんだよ!」「そんな奴と別れちまえよ!」「エリカちゃんよぉぉぉぉ!」と思うのである。

フランス映画には「女は分からん映画」というジャンルがある。いや、ない。今、俺が勝手に命名した。
本作もまた「女は分からん映画」の一つと言える。
ただフランス映画と違い「女は分からん」が主眼ではない(フランス映画の場合は「いい歳になってもやっぱり女は分からん」であり、場合によっては死んじゃったりするのが相場なのだ)。
この映画に於ける「女は分からん」は「複雑」の一つであり、正解の無い「世間」にすぎない。

私は、この映画をとても「切ない」と思って観た。
表面的には「愉快」を装った映画だが、猛烈に切なかった。
「小学校の用務員になるために沢山の研修を受けた」という冒頭早々のナレーションだけで泣きそうになった。
小学校の用務員になるのがそんなに大変だなんて知らなかった。それこそ、私が知った世間の「複雑」。
父親が「弁護士」という「努力に比例した派手な商売」であるのに対し、息子達はなんと「努力に比例しない地味な商売」なんだ。切ないぞ。しかも女にモテない。悲しいぞ。チャライ男と付き合ってるエリカちゃんベッドの中でパンツ履いちゃってるぞ。猛烈に悲しいぞ!

私が思うに、こうした「愉快な映画」を装った「何だかハッキリ言えないけど切ない映画」の代表作は、なんと『の・ようなもの』。
つまりこの映画は森田芳光の原点回帰。森田芳光の本領発揮。反省会のカット割りなんか痺れるぞ。

最後に、森田芳光ファンとしてハッキリキッパリ申し上げよう。
監督は「どんなジャンルでも撮れる」と思っているようだが、貴方の得手ジャンルは「ダメ男映画」ではないでしょうか。

2006/05/13公開(2006年 アスミックエース)


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