August 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

人のセックスを笑うな




監督:井口奈己/シネセゾン渋谷/★3(65点)
本家goo movie公式サイト

これは『ディア・ハンター』だ!(レビューは個人的なこととどうでもいいことと頭のオカシイことしか書いていません)
劇中観覧車が出てくるのですが、一目見て分かりました。桐生が岡遊園地。母親の実家がすぐ近所で、子供の頃よくこの遊園地で遊びました。動物園が併設されている市営のショボイ遊園地です。まったく個人的な話ですいません。

高橋源一郎や角田光代という頭のオカシイ作家が「嫉妬するほどの才能」と言ったという山崎ナオコーラの原作は手元にあるのに未読なのでオリジナルは分からないのですが、ちょっと面白い構成をしているなあ、と思うのです。

永作博美視点が一つも無いんですね。
松ケンサンバ視点と蒼井優先生視点からのみ、映画は描かれる。
つまり、二人にとって永作博美は台風や天災みたいなもんなんです。いや、むしろ戦場。戦場での苦悩と戦場を離れての苦悩。『ディア・ハンター』と同じ。

前作『犬猫』で「逆立ちしても男には描けない女性描写」と私が評した井口奈己。
監督デビュー作『犬猫』は自主映画で賞を獲った作品のリメイクなので、事実上初の商業企画作品ということになります。いわば試金石。

率直な感想は、「巧いんだけど長い」。
思えば『犬猫』も長いと感じる場面が多々あった。『山猫』は実際長い。『海猫』は体感時間が長かった。
本作に比較的辛い点数を付けている大きな要因はここで、話自体のテンポの良さ(二人がそうなるまでの話運び等)に比べて映画自体のテンポが悪い気がするのです。

だけど巧いんだよ井口奈己。
蒼井優先生が永作博美の個展に行くシーン。そこで帽子を脱いで長い髪を下ろすんですね。常に髪を結っているか帽子をかぶっている彼女が、唯一髪を下ろす場面。
これは“女”として永作博美と対決に向かうシーンなのです。『ディア・ハンター』のロシアンルーレットなのです。いや、それは嘘です。
ま、肩すかしを喰ってお菓子を食うことになるのですが、髪一つで女性の心情を描けるのは巧いなあ、男には逆立ちしても真似できんなあ、と思うわけです。

そして、これはもちろん役者の力量もあるのですが、蒼井優先生の「イーッ!」って感じ、なんて言うんでしょう、若い女の子の焦燥感とでも言いましょうか、もう抜群。
これは感覚的な問題なのですが、井口奈己は年上の女性(本作は永作博美、『犬猫』なら小池栄子)よりも若い女の子を描く方が巧い気がします。いや、本当に感覚で言ってるだけなんですが。

でね、その年上の女性=永作博美が言うわけですよ。「うん。キスも上手になった。」

『ドッペルゲンガー』で書いてるんですが、私は矢口真里大好きと思って日々暮らしているんですけど、唐突に永作博美大好きになる瞬間があるんですね。まったく個人的な話ですが。その理由が今の今まで分からなかったんですが、この映画で分かった。はたと気付いた。でも書かない。書けない。

2008年1月19日公開(2007年 東京テアトル)137分

comments

   

trackback

pagetop