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交渉人 真下正義




監督:本広克行/TV地上波/★4(70点)
本家goo movie

いろんな“パクリ”を寄せ集めた“オリジナル”。『踊る』シリーズと関係なく面白い。
以前から私は「本広克行監督は『パトレイバー』ファンである」と指摘し、『踊る〜2』では「もうやりたいだけパトレイバーやっただろ」とまで言ったものだが、本作はもっともっと『パトレイバー』である。ていうか、まるで『パトレイバー』。そこまでやるか!だったら、伊藤和典に脚本書いてもらえばいいのに、ってくらいのもんである。
これはいただけない。
だが、ヒッチコックの『知りすぎていた男』をやり始めた時に許そうと思った。思わず笑った。
いや、『ジャガーノート』はやると思ったけどね。古畑任三郎でもやってるし。ていうか、キャスティングが妙に古畑任三郎だよね。まあ、いいけど。
でね、やたら「ボレロ、ボレロ」言い出すでしょ。まさかクロード・ルルーシュやるはずもなく、すわ「デ・パルマか?デ・パルマか?『ファムファタール』かぁ?」とか言ってたら、本家ヒッチ先生とは。これが、「50年も前のネタだからバレないだろう」という意図でパクったなら許せないが(実際若い人は知らないだろうが)、こんな世界的に有名なネタをパクってバレないと思うはずもなく、オマージュですよこれは。もしくはパロディー。

要するに、この映画を観るのに必要なのは「踊る」シリーズではなく、『パトレイバー』なのだ。
本作中、無理が生じたり不必要に思える部分も『パトレイバー』を知っていれば納得できる。理解できるわけではない。納得できるだけだ。「ああ、監督がやりたかっただけなのね」と。

こうして考えると、『サマータイムマシン・ブルース』で唐突にガンダムのBGMを使用したりしたことも含め、本広克行は結構オタクな人だと推測できる。まあ、オタクという言い方が適切かどうかはともかく。

この映画が、どの本広作品より、ことに「踊る」シリーズの中でも傑出していると思うのは、オタク監督・本広克行が、オタク主人公(警察も犯人も)で描いた点にある。
真下にも犯人にも監督自身の姿が投影されていて、おそらく監督自身の気持ちがストレートに描けた作品ではないだろうか。

表面上のネタは、前述したように『パトレイバー』をベースに、様々なアニメや映画等の寄せ集めだが(その寄せ集め方はそれはそれで秀逸だが)、その芯にあるものは本広監督の本質=作家性とも言える。これは他の本広作品ではあまり感じられない。
そして、この作品で垣間見える本広監督の作家性は、実に見事なオタクっぷりなのである。

(2005年 ROBOT・フジテレビ=東宝)

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