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バンテージ・ポイント




監督:ピート・トラヴィス/新宿ミラノ2/★4(77点)本家公式サイト

練られた設定、凝った撮影。面白かった。
一つの事件を別の視点から繰り返し描写することで別の側面が見えてくる、
って手法は、それほど珍しくない上に善し悪しなんだなあ。

実際私も同じ手法の話を書いたことがあるんですが、これねえ、書いてる方は楽しいんですよ。なにかこう、パズルが少しずつ出来上がっていく感じで。最後のピースがピタッとはまった時は映画的な高揚感があるんですよ。書いてる分には。

この“繰り返し手法(仮称)”、ミステリー向きの手法であって、サスペンス向きの手法じゃないのかもしれない。

例えば、スペイン人警官と彼女の関係。
見知らぬ男と親しげに話している姿を目撃して、その真実が明らかになるのは、“繰り返し手法”の方が面白い。「実は・・・」という謎解き的な面白さ。
ところが、「彼女が何か投げた!」「スペイン人警官が誤認逮捕されてる」ってのは“同時進行”の方が面白いと思うんです。観客は「そいつにかまってる場合じゃないぞ!」「志村!後ろ後ろ!」という緊張感が生れるんですね。
エイゼンシュタインみたいなこと言ってますが、要するに「何度も見るから飽きる」んじゃなくて(それもありますが)、この手法は必要な緊張感が生れてこないんです。

しかしこの映画で面白かったのは、繰り返し手法のアイディアだけ終わらず、
「犯行を見抜いた!」「犯行を見抜いたことを見抜いた!」という駆け引きなど、ストーリーそのものも面白いと思うんです。
実はシンプルなストーリーで、繰り返し手法で複雑に見せているだけなんだけど。

そして何より、非常に月並みなことを言いますが、大統領とベテランシークレットサービスの関係が良かった。

「デニス・クエイド(役名忘れた)が復帰したのに何故俺のそばにいない」みたいなことをウィリアム・ハート(大統領)が言います。
この台詞一つで、二人の信頼関係が表現されている(もちろん以前の事件の描写で説得力パワーアップ)。
だから、どんなに超人的なドライビング・テクニックを繰り出そうとも、「デニス・クエイド以外の奴が救出したらだめだよな」と納得できるのです。
おまけに「身分を超えた友情」みたいな安易なドラマでなく、大統領とシークレットサービスという関係は超えない。実に大人な関係。それもいい。

日本公開2008年3月8日(2008年 米)90分

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